イリヤがレイプされていない事を証明する。
『イリヤの夏、UFOの空』において、レイプ論争というものがあります。
イリヤ最終巻が発売されたと同時に”イリヤはレイプされたのか”とネット上であらゆる議論がなされた事件。
気になってる人や間違った解釈をしてる人もいると思うので解説します。
結論から言うとイリヤはレイプされてません。
最終巻で無力感に打ちのめされている浅羽にイリヤが言った「何もされてない!」という台詞の真偽が分かれば真相が分かるんですよね?
対比の考え方を用いればその真偽は分かります。
ヒントは「何もされてない!」の「!」。
作中、無表情キャラのイリヤが「!」を使う台詞なんてほとんどありません。
そこで対比されてる箇所はおのずと限られてきて、3巻でのイリヤの台詞が浮かんできます。
3巻でイリヤが目が見えなくなったときの事を思い出してください。
ここでイリヤは失明したのではと思う浅羽に対し、「見えるよっ!」と主張します。
この台詞だけ見ても似ていますね。女と男の対比さえあれ、イリヤと同じ様に浅羽が椎名に馬乗りになられたり、その後イリヤがレイプ未遂された後と同じ様に無力感に打ちのめされたりと、ちゃんと原作を手にとればこのシーンと4巻のあのシーンが対比されているのは一目瞭然です。
そこでこの「見えるよっ!」の真相と「何もされてない!」の真相も対比されているというわけです。
さて「見えるよっ!」の真相を覚えていますでしょうか?
真相は「半分嘘で半分本当」でした。
つまり「イリヤが浅羽に尋ねられた時点で目が見えてないのに見えると言う意味で嘘、浅羽の失明したのではないかという思いに対する意味で見えるというのは本当」という事です。
はい、もう分かりましたね。イリヤの「何もされてない!」は「半分嘘で半分本当」というのが真相です。
つまり「イリヤが馬乗りになられたりしてレイプされそうになったという意味で何もされていないというのは嘘、浅羽のレイプされたのではという思いに対する意味で何もされてないというのは本当」という事です。
よってイリヤはレイプされてません。
(3巻での浅羽と4巻でのイリヤのシーンは、同じ関係ではなく逆の関係ではないのか?と思った方はおられるでしょうか。そこに関しては自分も悩むところですが、仮に対比で同じではなく逆の関係だったとしても、「半分嘘で半分本当」というのは「半分本当で半分嘘」にしかならないため結論は変わらない。)
プールの縁
浅羽とイリヤが初めて逢った場所。プールに入る前の心境において両者ともに「死刑囚だって最後にタバコくらいは喫わせてもらえるのだ」とありますが(イリヤに関しては本編ではなくオフィシャルイラストレーションのグラウンドゼロで記述されている)、ここでの死は浅羽にとっては夏休みの終わりであるのに対し、イリヤにとっては現実的な自分の死。つまりイリヤにとってプールの縁は死の縁でもあります。「このままここに残していったら、この子はいつまでもこうしてプールの縁に座っているのではないか」という浅羽の心中と照応しこれから浅羽がイリヤに、そして非日常に歩みよる事が暗示されています。
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